約 373,476 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/18656.html
登録日:2011/10/15(土) 21 24 48 更新日:2023/03/15 Wed 13 34 23NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 アニメでは意味不明 ライトノベル レギオスシリーズ レジェンド・オブ・レギオス 外伝 富士見ファンタジア文庫 小説 鋼殻のレギオス 雨木シュウスケ LEGEND of REGIOS 雨木シュウスケ著の小説作品。 『リグザリオ洗礼』 『イグナシス覚醒』 『レギオス顕現』 の全3巻が刊行されている。 著者の別作品『鋼殻のレギオス』の遥か過去を描いた物語。 作風としては都市を牛耳るギャングとの抗争などダーティーかつバイオレンスな雰囲気が漂い、やや硬めに仕上げられたテキストが印象的。 世界観も『鋼殻』とは全くと言って良いほどに別物。 しかし話が進むに連れて『鋼殻』との繋がりが見え始め、最後まで読むと後の世界を構築する要素―― 荒廃した大地 大気に満ちる『汚染物質』 汚染物質を吸収して生き、自己繁殖する『汚染獣』 汚染物質と汚染獣から人を守る『自律移動都市(レギオス)』 武芸者の持つ『剄』と『念威能力』 ――などがどのようにして生まれたかが解るだろう。 『鋼殻』の外伝作品は本作と『聖戦のレギオス(全3巻)』の2作。 それぞれ単体でも楽しめるが、作品を跨いで登場するキャラも多いので全てを読むほうが理解は進む。てゆーか、聖戦共々読まないと終盤の決戦展開が理解しきれない。 ちなみに、『聖戦』の主人公ディック(ディクセリオ・マクセイン)は3作全てに登場する忙しいヤツである。 【あらすじ】 人口増加と資源問題が致命的なまでに深刻化した、未来の地球が舞台。 人類は宇宙進出を目論むもこれに失敗し、遂に世界中を巻き込んでの資源戦争を勃発させてしまう。 そうして多くの命が失われていく中、世界から集められた科学者集団『アルケミスト』が生んだ亜空間増設技術(オーロラ・フィールド)によって人類の抱えていた問題は解消された。 それから数百年後。 世界は亜空間技術の弊害として生じたオーロラの壁で断絶され、向こう側がどういう状況にあるのかをお互いに知ることが出来なくなっていた。 ある時妹を“向こう側”に飲み込まれた青年・アイレインは、アルケミスト主導の“向こう側”の調査計画に志願する。 そしてその結果、“向こう側”に満ちるオーロラ粒子に侵食されつつもメンバー唯一の帰還者となった。 研究材料として拘留されたアイレインは、同じ境遇にある少女・サヤを連れて脱走。 直後に出会うリグザリオ夫妻と共に、サヤが安心して暮らせる手立てを求めて旅をすることとなるが……。 【用語】 ■オーロラ・フィールド 過去に研究者集団『アルケミスト』が開発した物で、亜空間増設技術とも呼ばれる。 「数理上で仮定された空間を現実世界に固定化させる」……分かりにくいが、要は好きな空間、例えば豊富な資源や清浄な水脈を有する大地を無限に生み出せるというもの。 ■絶縁空間/ゼロ領域 増えすぎた亜空間同士が相互干渉して生じた、あらゆる物の行き来を阻害する空間。 強引に侵入することは不可能ではないが、そうしたが最後、人も機械もまず出られない。 ■絶界探査計画 絶縁空間の内部を知るために行われた調査計画。 アイレインが参加した際に戻れたのは彼一人。そして彼の帰還と共に現れた少女・サヤだけだった。 ■オーロラ粒子 絶縁空間内に充満している、人の思念や潜在的な願望に反応してそのあり方を変える粒子。 人を変異させる特性も持ち、後述の『異民』生み出すとして社会的な問題になっている。 ■異民 絶縁空間に生じた穴から漏れ出すオーロラ粒子の侵食を受けた人間。 高い身体能力などを身に付ける者もいるが、代償として大半が人とかけ離れた姿になってしまう。 また絶縁空間に直接飛び込み、尚且つそこからの帰還を果たした者はそうした異民とは段違いの怪物となる。 彼らはその身に“一つの世界”を内包する存在となり、そこから引き出す力で異能を発揮できるからである。 肉体的な変異の程も跳ね上がるが、アイレインとサヤは幸運にも外見に大した変化は見られない。 【主要登場人物】 ○アイレイン・ガーフィート 本作の主人公。程ほどに暴力的で、程ほどに優しい飄々とした男。 絶縁空間に飲まれた妹を探して絶界探査計画に参加した結果異民となり、右目に異能を宿し凶悪な身体能力を身に付けた。一行における役割はそれを活かしてオフェンス行動、つまり暴力沙汰全般である。 異民化しているのは右目と左腕のみ。戦闘で身体活動が活発化すると、自分自身が発生させるオーロラ粒子によって“人間”の部分が侵食されてしまう。 それを防ぐためにオーロラ粒子を吸収・制御する器官をエルミに備え付けられており、器官の働きを補助する物質を含む煙草を吸っている。 + 以下、『鋼殻のレギオス』ネタバレに付き注意! 『鋼殻のレギオス』では巡り巡って「彼の眼とそこに宿る力」をリーリン・マーフェスが継承し、レヴァンティンへの最期の一撃時彼の銃も彼女が手にしていたが、 その直後『聖戦のレギオス』の物語によってあえてアイレインにより倒すために世界に放たれた「炎の獣」を倒すためアイレイン本人が登場し、リーリンから戦力補給のため自分の因子を回収。 久しぶりに再会したサヤにイグナシスのあっけない最期を語りながらニーナ・アントークと共に炎の獣を倒すも、その中のディクセリオ・マクセインに反撃され退場した。 なお後日談ではその時の深い傷を癒すため、リーリンの中でサヤと二人一緒に眠っていることが明かされている。 ○サヤ アイレインが実妹・ニルフィリアを探して絶界探査計画に参加した際、絶縁空間で出会い連れ帰った少女。 ニルフィリアと全く同じ容姿を持つが、その理由は絶縁空間から出るまでの記憶が無い彼女自身にも分からない。 異民としての能力は、何者をも寄せ付けない“自分の領域”を周囲に作り出すもの。一行のディフェンス役を務める。 感情に乏しく、いつも寝てばかりいる。 ○エルミ・リグザリオ 過去にオーロラ粒子に侵食されて不老となった、結成当時の『アルケミスト』の生き残りの女性。 飼い猫の額に埋めた石の中の亜空間に引きこもりつつ、ドミニオと同行する先々で亜空間増設機の故障を直して回っている。 亜空間増設機を修理できる知識を持つのは、アイレインのいる世界では彼女だけ。 ちなみに『鋼殻のレギオス』にも短編で登場しており、ヴァティ・レン(レヴァンティン)に対し盛大に皮肉に煽るような対話を仕掛けていた。 ○ドミニオ・リグザリオ 各地に派遣されて治安維持を行う国家公務員『巡視官』の中年男性。エルミの夫で、こちらは普通の人間。 昔は役目に対し正義感を持つ熱血漢だったが、今では地位を利用してギャングから賄賂を受け取る子悪党に落ちぶれてしまっている。とはいえ、その気質は何だかんだで善人。 ○ソーホ 当代のアルケミストの一人。 絶界探査計画の担当者だった男で、探査へ向かうアイレインらに肉体強化処置を行った。年はアイレインと近い。 精神的に揺らぎやすく内向的で、探査参加者の一人であるジャニスという女性に憧れるも殆ど話すら出来なかったヘタレである。 アイレインの脱走の5年後には、異民が起こす事件を鎮圧する部署『サイレント・マジョリティー』の主任となってアイレインの前に現れ、度々対立することとなる。 ○レヴァンティン ソーホが絶界探査計画のために開発した、『ナノセルロイド』と呼ばれる自律機動兵器。姿は女性タイプ。 その身体を構成するナノマシンはオーロラ粒子をエネルギーに転換する特性を持つため、活動する度にオーロラ粒子を生じさせる異民に対しては天敵となる。 顔の造形パターンはジャニスそのまま。ソーホの偏執が形になった物といえるが、そのせいで本機体もまたソーホの形へと執着。ある事件によってそれを予想外の方向へと利用されてしまい…。 余談だが、後に進化形の『クラウドセル』という固体が登場する。『鋼殻』の第6巻と照らし合わせると2作品の繋がりを垣間見れるかも。 後に『鋼殻のレギオス』本編にも登場。何を思ったか「ヴァティ・レン」として学生生活を送り、人々の生活や普通の女の子の恋模様に関心を示すも、 長き時の果てに「今の戦う理由」イグナシスが力尽きていた事を知ってか知らずか(聖戦のレギオスで判明)、結局グレンダンにて世界に戦いを挑む事に。 ○ニルフィリア・ガーフィート 偶発的に生じた穴から絶縁空間に飲まれてしまった、アイレインの実妹。 アイレインが絶界探査計画に志願したのは彼女を助け出すためだったが、それは叶わなかった。 もはや生きて再会を果たすことは無いと思われているが……。 なお、こうした過去の割りに本人の性格がきつい唯我独尊女王様気質のため、兄への対応は昔からかなり雑なもの(穏和な表現)であった。 同じ姿のサヤといる様子を見て、サヤに敵意を抱くくらいには兄への感情はあるのだが。 ○イグナシス 本作後半の黒幕。 好奇心の赴くままに世界を崩壊させる彼の目覚めと、ソーホの身体を乗っ取っての活動は、『レジェンド』の佳境への突入と、物語が『鋼殻』に繋がる転機となる。 なお本作ではエルミ同様に不老となった、初代アルケミストの一人とされるが、『聖戦のレギオス』3巻で本作の後長い封印の果てに心が限界を迎えとうの昔に息絶えていたと判明。そこで明かされたその意外な真の力と素性は…。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/3093.html
Soul of Dragon キャラクター コメント ARCSTAR RINGDOM様制作の、RPGツクールによるフリーゲーム作品。 ビーダル(コスモパワーなど通常覚えない技を使う。)がボスキャラ(対策アイテムとして相手の能力を元に戻す黒煙玉がある)として出てたり、 ピカチュリンという電気ネズミのザコ敵も」登場している。 キャラクター バシャーモ:ランス マニューラ:NN エレキブル:エクリード エルフーン:サヤ キリキザン:アネゴ コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/praxis/pages/58.html
↑桜月桂樹さまに頂きました!( _ )EDぽいっ ↑はやみ蒼輝さまに頂ました!( _ )やしあお人気ですっ ACTOさまに頂きました!( _ )風紀コンビ~ かがちさまに頂きました!( _ )かわゆい~ PRAXIS / キリ番絵、サヤさんからのリクエスト PRAXIS / パステル塗り 他、自分がBackupしてなかったために消えてしまったねこまんまさんとかのお絵かき板の作品、本当すいませんでした…(´_`。)m(__)m
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/595.html
788 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/18(月) 23 02 31.69 ID i7BVfpMA0 赤い糸を題材にちょっとしたSS書いてみました。。 思ったより時間かかった・・。 あと、その間に書きこまれた他の方々の素晴らしいSSの出来の良さに嫉妬;; 「赤い糸」を題材にしたSS ――コンコン 「あーい。どうぞー。」 ガチャ っと音がして、俺の部屋に入ってきたのは言うまでもなく桐乃だった。 「めずらしくさー、勉強であんたに聞きたいことがあってさ。当然教えてくれるよねー?」 有無を言わさず俺の横にきて、テキストを無造作に机におく我が妹。 時刻は夜10時30分だというのに、桐乃から甘ったるい香水の匂いがする。 こいつ、四六時中、香水つけてんのな。へっ、最近の中学生ってマセてやがるぜ。 まー、いい匂いだから文句はねーんだけどな。 「英語でさー、これを和訳してほしいんだよねー。」 「おう?なんだ言ってみろ」 なんて得意気になる俺。ふふん、ちょうどいい機会だ。年長者としての威厳を見せてやるぜ。 桐乃が指を指した文章は、 ...I had met kirino by chance in the world. We are meant to be together. なるほどな。桐乃とは言え、これはちょいと中学生には難しい問題かもな。 「ここは熟語の構文を意識することだな。まずは、by chanceっつーのは、偶然出会うって意味だ。」 「へー。やるじゃん。」 ふふん、ちょろいちょろい。このまま俺の威厳を高めてやるぜ。 「その後の文はだな、お互い一緒になるために出会ったって意味の熟語だ。つまり訳すとだな―」 ついに、俺はキリノとこの世界で偶然にも出会うことができた。 私たちはもう運命の赤い糸で結ばれている。 「という和訳にな――え?!」 「―う、ううううんめいの、赤い糸!?」 なんじゃこの文章はあああああああああ! つーか、どこの教科書で「キリノ」っつー単語が出てくるんだよ!? ねーよ?ねーよ! 「ご、誤解だ桐乃!これはあくまで素直に、すなーーおに和訳しただけだ!」 「す、素直に思いを伝えただけ!?あ、あ、あんたあたしのことそんなにす、すすすすす」 「だああああああああああ!全然ちげぇ、ちげぇよ?!曲解するな!」 「け、、結婚する、、、、結婚す、、、」 「おま、曲解を結婚と聞き違えるとかねーよ、お前!とりあえず落ち着け、な!!」 と混乱している桐乃の両肩に手をかけて、とりあえず落ち着かせようとした。 「あ、、、あに、、、、あたし、、、、あ、、、」 こ、この体勢はやばい!顔が、桐乃の顔が近い。かえって逆効果だった! 「あ、、あのね、、、こ、、、、この文章も、、、訳して」 「お、、おう。」 先程のテキストにある文章を、震える指で指した。 I m not much good at anything, but please be kind to me. 「お、、、おう、これを訳せばいいんだな。これはだな―」 不束者ですが、よろしくお願いします。 「――!!」 「もう好きにしてくれええええ!!!!」
https://w.atwiki.jp/souhei_world/pages/2705.html
出発 聖華暦833年 12月17日 5 00 「やあ、おはよう。」 早朝、とある暗黒騎士に声をかけられた。 「あ、えっと…おはよう…ございます…。」 「まだ寝ぼけているのかね? シャキッとしたまえ。」 彼は……、彼だと思う。 思う、というのは、外見で性別がよく解らなかったから。 というのも、その、なんと言うか、彼が亜人の、そう、烏の姿をしていたからだ。 「君はイディエル卿の弟子だね。名は確か…、リコス・ユミアか。おっと失敬した、まだ名乗っていなかったな。私はアンヴァーク・ロウ。アンヴァークが姓でロウが名前である。……何かね? 私の顔に何か付いているというのかね?」 「いえ、申し訳ありません。」 うっかりと顔を見続けていたのは不快に思われたかもしれない。 そう思ったけれど、当の本人は気にしている様子も……やっぱりよく解らない……。 「君の師匠とは懇意にしている。何かあれば頼ってもらって構わない。」 「はい、ありがとうございます。よろしくお願い致します、アンヴァーク卿。」 「うむ、遠慮はいらないとも。」 どうやら気を悪くされてはいないようで、ホッとした。 「やあ諸君、おはよう。」 「おはよう。」 「リコスさん、おはようございます。」 「皆さん、おはようございます。」 バキアさんにベインさん、リリィさんとサヤさんが揃ってやって来た。 「諸君、おはよう。」 皆はアンヴァーク卿を見るなり。 「鳥だ。」 「鳥だな。」 「鳥ですね。」 「鳥さん。」 「皆さんっ⁈」 皆の反応に、思わず突っ込んでしまった。 なんて遠慮が無いんだろう……。 「若者達は元気があって良いのう。」 「ええ、そうですねぇ。」 さらに、二人の暗黒騎士が集まる。 どちらもだいぶ高齢のように見える。 一人は背がいささか低い、けれどその体躯はまるで巌そのもののように鍛え上げられている。 バキアさんの師匠、バンザ・ジルベール卿だ。 もう一人は背が高くスラっとしていて、白髪を一本に結えている。 穏やかな笑みを湛えているけれど、片目は眼帯によって隠されている。 こちらの方は名前を知らない。 「おはようございます。」 「おはようございます。リコス・ユミアと申します。御名をお伺いしてもよろしいでしょうか?」 「もちろんですとも。わたくしめはイルドア。イルドア・スタンフィールドと申します。ご覧の通りのじじぃですが、以後、お見知りおきいただければ。」 「これから御指導、御鞭撻、よろしくお願い致します。」 「ふふふ、礼儀正しい子ですね。よろしくお願いします。」 スタンフィールド卿は物腰が柔らかく少しも偉ぶったりせず、なんとも頼りない気がする。 けれど、注意深く観れば身体の動きには一分の隙も無い。 それだけで、本人が言うようなただの年寄りなどでは無いと判る。 「今ナンつった! もう一辺抜かしてみろ‼︎ 」 突然、怒号が響いた。 「テメェ今バンザ様を馬鹿にしたかァ⁉︎ 明日の朝日拝めなくしてやらァよォ!」 「落ち着け、馬鹿になどしてはいない。ただご高齢ゆえに無理はさせられんと言っただけだ。」 「それを馬鹿にしてるってんだよ! バンザ様はテメェ如きに心配されるようなヤワなお方じゃねぇんだよ‼︎ 」 顔を怒りの形相に染めたバキアさんが、ベインさんに食ってかかる。 一触即発、只事では無い雰囲気に、けれども間に割って入ったのはスタンフィールド卿。 「双方引きなさい。目的なき諍いはただの蛮行。帝国の剣たる自覚を忘れてはなりませんよ。」 「いいや、勘弁ならねえ! そこを……」 静かに、背筋が寒くなるほどの静かな殺気が、場を包む。 その中心は、スタンフィールド卿だった。 怒気を強めていたバキアさんが、その怒りを受けてたとうとしていたベインさんも、一歩引いてしまうほど。 「バキア、落ち着かんか。済まぬなイルドア、手間をかけた。」 「ふふ、本当に若い者は元気があって良いですね。」 暗黒騎士の真に恐ろしい、その一端を垣間見た気がした。 「さて、揃っておるか?」 ジルベール卿が僕達を見回す。 「一人足りてませんね。」 スタンフィールド卿が人数を把握してジルベール卿に言った。 確かに一人足りない。 「ジェラルディン・マルケスさんがまだ来ていません。」 サヤさんも誰が来ていないのかを把握し、ジルベール卿へ報告した。 「おやおや、仕方がありませんね。」 ジルベール卿は苦虫を噛み潰し、スタンフィールド卿も困ったような笑みを浮かべ、アンヴァーク卿は……よくわからない。 「私が見に行って来ます。」 「僕も行きます。」 サヤさんについて僕も行く事にした。 ジェラルディンさんに割り当てられている部屋は僕の部屋の隣だ。 忘れ物があったのでそのついでに。 「ジェラルディンさん、ジェラルディンさん、起きていますか?」 サヤさんが部屋の扉をノックして、返事が無いので呼びかける。 しかし、部屋の中からは反応が無い。 「ジェラルディンさん、入りますよ?」 僕がドアノブを回すと扉はあっさりと開く。 中からはスヤスヤと安らかな寝息が聞こえて来た。 まだ眠っているようだ。 「ジェラルディンさん、起きてください。もうすぐ出発の時間ですよ!」 「ん〜、ふあぁぁ、あ〜……おはよ。」 サヤさんがジェラルディンさんをゆすると、まだ眠い目をこすりながらジェラルディンさんはゆっくりと起き上がった。 「ジェラルディンさん、支度を急いでください。皆さん準備は出来ていますよ。」 「朝からそんなに急かすなよ。アタイのオカンかっつーの。」 「出発の時間が迫ってますよ。」 「えー、出発? ………あー!もうこんな時間⁈ やっば、師匠にどやされる!」 時計を見て、ようやく目を覚ましたジェラルディンさんは慌ただしく支度を始めた。 結局、僕とサヤさんも支度を手伝って、出発にはギリギリ間に合った。 「ふむ、揃っているな。では我らはこれよりギルガメア王国王都へ向けて出発する。これより先は帝国軍による援護も支援も無い。各自が最大限に能力を発揮し、勅命を果たす事を期待する。」 ファリオン卿が一堂を激励する。 「出発する!」 号令一下、ファイデリン級軽巡航艦は動き出す。 目指す先は自由都市同盟領ギルガメア王国。 数多の魔獣が蠢く死地へと。
https://w.atwiki.jp/srwux/pages/278.html
VSバーン海動or真上 劉備 関羽 張飛 VSライオットCアーニー VSガランアーニー サヤ アルト 海動or真上 劉備 フェイ シン VSバーン 海動or真上 真上「付き合ってもらおうか…俺たちの退屈しのぎに!」 バーン「手負いであろうと手加減はせぬ。覚悟してかかってこい!」 海動「図に乗るんじゃねえ!その鼻っ柱、叩き折ってやるぜ!」 劉備 劉備「ガランに正義はない!それはあなたにもわかるはずだ!」 バーン「正義など所詮、勝者の論理…この戦場を生き抜いてから語る事だな!」 関羽 関羽「それだけの力を持ちながら、なぜガランのような者に加担する!」 バーン「私は拾われた身だ。今は、騎士として忠義を尽くすのみ!」 張飛 張飛「かかってきやがれ!てめえはオレ様がブッ飛ばす!」 バーン「フ、無頼の輩か。面白い、返り討ちにしてやろう!」 VSライオットC アーニー アーニー「僕とジンが初めて掴んだ翼、ライオット… こんなところで、敵として戦いたくはなかった…!」 VSガラン アーニー ガラン「フフフ、見えるぞ…!地獄の底でのたうつ、貴様の運命(さだめ)がな!」 アーニー「勝手なことを!そんな言葉に惑わされるものか!」 サヤ ガラン「どうした!?地獄の旋律は、まだワシの耳には届いておらぬぞ!」 サヤ(旋律…?ヘル・ストリンガーのことを、なぜこの男が…!?) アルト アルト「あんたの動き、見せてもらった。今度こそ決着をつけてやる!」 ガラン「口先だけは一人前だな。だが、貴様に何ができるッ!」 海動or真上 ガラン「魔神を操る者たちよ、うぬらはその力で、何を求める!」 真上「俺たちに大義名分などない!そんなものは所詮、人を騙し、自分を偽るだけの題目だ!」 海動「俺たちは戦いたいから戦う、潰したいから潰す!それだけだ!」 劉備 劉備「ガラン!なぜそこまで戦いを求める!?お前ほどの侠ならば…!」 ガラン「戦いこそは武人の本望!この武の誇りこそが、ワシの生きる証しなのだッ!」 フェイ フェイ「また… 誰かが わたしを見てる?気になるけど…どうしたら いいかな?」 ガラン「そうだ、眠り姫よ。探し続けるがいい、己の存在を…! それが、そなたに与えられた運命(さだめ)なのだッ!」 シン シン「これ以上はやらせない…俺が終わらせてやる!」 ガラン「その意気や良し!だが、我が刀の錆になるだけだ!」
https://w.atwiki.jp/kaijinmato/pages/820.html
「貴様達も悲しみの底へ墜ちろ」 【名前】 デスフィアス 【読み方】 ですふぃあす 【声】 乃村健次 【登場作品】 星獣戦隊ギンガマン 【登場話】 第三十三章「憧れのサヤ」 【所属】 宇宙海賊バルバン/イリエス魔人族 【分類】 イリエス魔人 【怪物モチーフ】 スフィンクス 【他のモチーフ】 ピラミッド 【名前の由来】 死(英:death)+恐怖(英:fear) 【詳細】 イリエス魔人族の1人。妖帝イリエスの弟。 「魔獣ダイタニクス」を復活させるのに、3333人の人間を「嘆きの仮面」で悲しませようと目論む。 人々に仮面を付けている最中に駆け付けたサヤ以外の4人にも仮面を付け、更にヒュウガも成り行きで仮面の餌食にするが、サヤの花びらの爪に怯んだ隙に撤退されてしまう。 3332人を悲しみの底に陥れるが、最後の1人に仮面を付けようとしたところをピンクに阻止される。 更にトキワの森にある木の実で一時的に悲しみを癒した他の5人の参戦によって形勢が逆転し、差し向けた賊兵ヤートットを一掃され、ピンクの怒りの反撃に怯み、黒騎士の「黒の一撃」、獣装光ギンガマンの「銀河の戦光」の連続攻撃により敗北(落とした杖が壊れた事で仮面の魔力も消え去る。)。 その直後、バルバエキスを飲んで巨大化する。 超装光ギンガイオーと交戦、剣を武器に圧倒的な力で超装光ギンガイオーを追い詰めるが、並外れた俊敏さを誇るギガフェニックスのスピード戦法に翻弄され、最期は「銀河大獣王斬り」を受け倒された。 弟を倒されたイリエスは動揺し、樽学者ブクラテスは悲しむイリエスを慰めていた。 その頃、「破王バットバス」、「闇商人ビズネラ」からダイタニクスが腐り始めている事を知らされた「ゼイハブ船長」、「操舵士シェリンダ」はある事を思い付く。 【嘆きの仮面】 デスフィアスが使用する不思議な仮面。 「悲しみの顔」のような杖の飾りからの光線を人間の顔に浴びせる事で仮面に実体化。 仮面を付けられた者は深い悲しみのどん底に落ちるが、トキワの森にある木の実を食べる事で一時的に悲しみを癒せる。 【余談】 名前が3文字の同じ言葉の羅列で統一されていないイリエス魔人。 イリエスの切り札的存在だが、シェリンダから「身内を贔屓するのもいい加減にしろ」と叱罵される。 バルバエキスを飲む際は「このままでは姉上に申し訳が」と発言している。 声を演じる乃村健次氏はスーパー戦隊シリーズでの出演は初となり、次作の『救急戦隊ゴーゴーファイブ』で敵幹部役としてレギュラー出演。
https://w.atwiki.jp/daysofmemories/pages/70.html
アプリ情報 侍だって恋したい!待望の恋愛シミュレーション第三弾が、舞台を江戸時代に移して開幕!ヒロインたちの顔ぶれはもちろん、“サムライスピリッツ”シリーズの面々だ。永遠のマドンナ「ナコルル」、琉球からやってきた「真鏡名ミナ」、仇討ちに燃える「吉野凛花」、姉御肌のイギリス人「サヤ」、赤い瞳の少女「命」、記憶を失った哀しき女「色」、そして“~天下一剣客伝”でブレークした和風メイド「いろは」など、サムスピファン歓喜のキャラクター陣が勢揃い!さらに、お転婆な魅力を振りまくオリジナルキャラ「詩乃」も加わり、物語に新たな彩りを添える!おなじみ覇王丸と幻十郎も、ゲーム進行のキーパーソンとして登場!幾多の試練と真剣勝負を乗り越えて、大江戸恋愛絵巻を成就させよう! ストーリー 一七××年、七月。時は大江戸。 その日暮らしの浪人、大之介がブラリと立ち寄った町。そこは天下の台所、江坂でありました。 大之介はそこで様々な人々に出会います。 鷹を連れたナコルルという少女は、ねおじ山で自然に囲まれながら妹と暮らしているそうです。 お客でにぎわう茶屋「むささび屋」には、オテンバ娘の詩乃が店を切り盛りしていました。 河原には、小さなもののけを連れた異国の娘、真鏡名ミナがひっそりと暮らしています。 往来で刀を振り、侍にケンカを売るのは吉野凛花という少女です。 寺子屋では、イギリス人のサヤと橘右京というお侍が、授業を開いています。 剣術道場で指南をつとめる覇王丸に連れてこられた寺には、病でふせっている娘、命がいました。 夕刻になると、色と千夜のふたりの芸妓が揚屋「蜜蜂屋」で芸を見せてくれます。 優しい人の多い町ですが、牙神幻十郎と狂エ門という恐いお侍もいます。 旅を続けようかと迷う中、大之介はいろはと名乗る娘に誘われるまま、しばらく留まることを決意しました。 こうして、江坂で過ごす日々が始まります。 町での暮らしの中、大之介は何を学び、何を想うでしょう。そして、このあてない旅にどんな目標を持つようになるのでしょう。 これは、そんな大之介の「日々の思ひ出」です。 はるか昔、江坂にあったという物語のはじまりはじまりです―― 攻略情報 ( )内は必要なゲージと、CG取得に関係のあるキャラ ナコルル(知、いろは) 詩乃(武、千夜と色) ミナ(怒、いろは) 凛花(武、ナコルル) サヤ(知) 命(知) 色(武と怒、ナコルル) いろは(怒、詩乃)
https://w.atwiki.jp/srwux/pages/64.html
シナリオ攻略 第4話 『舞い降りた翼』 勝利条件 敵の全滅 敗北条件 味方機の撃墜 ステージデータ 初期 初期味方 エルシャンク(ロミナ) 黒獅子(ジョウ) オルフェス(リチャード) ライラス(サヤ) 鳳雷鷹(レニー) 爆竜(マイク) 初期敵 バンクス(バンクス)×2 シャーマン(シャーマン)×4 ブレイヴ指揮官用試験機(グラハム) GN-XIV(連邦兵士)×6 ライオットB(アーニー) ライオットA(ジン) 初期配置敵の全滅 味方援軍 マップ上部中央 デモンベイン(九郎) ヒーローマン(ヒーローマン) 敵増援 味方援軍下 リベル・レギス(マスターテリオン) ユニットデータ 敵 機体名 パイロット Lv補正 HP 射程(P) 資金 撃破アイテム 備考 初期 バンクス バンクス 1 6300 5(3) 2000 - シャーマン シャーマン 0 3800 5(3) 1500 - ブレイヴ指揮官用試験機 グラハム 3 15600 8(4) 18000 映画「ソレスタルビーイング」 GNフィールドGNドライヴ[T]MDMAP兵器 GN-XIV 連邦軍兵士 0 5000 3(3) 1700 - ライオットB アーニー 2 12400 3(3) 15000 カウンター EN回復L1 ライオットA ジン 2 12400 8(4) 15000 ヒット アウェイ EN回復L1 増援 リベル・レギス マスターテリオン 3 48000 7(4) 15000 名も無き魔導書 オールキャンセラー九郎狙いHP4800以下で撤退 イベント・敵撤退情報等 ブレイヴ指揮官用試験機orライオットAorライオットB撃墜でイベント、シャーマン、バンクス以外の敵は撤退。味方援軍、敵増援。援軍2機は気力120スタート リベル・レギスのHP10%以下or撃墜でイベント、シナリオクリア。 攻略アドバイス GN-X_IVとブレイヴ指揮官用試験機は2000以下のバリア持ち。光波弾や胸部ビームガンなどの牽制武器はクリティカル無しでは無効化される。GN-X_IVに対しては鳳雷鷹のビーム手裏剣は武器の空適正がSなので2000を超える。またエルシャンクの対空ビーム砲はサイズ差で超える。 増援は敵味方全員川北に出現。初期配置からエルシャンクに忍者3人を搭載して川を超えオルフェスと合流しておくと後の展開が楽になる。 主人公は敵専用のステータスのため、事前に養成していても敵としてのステータスには反映しない。 リベル・レギスのHPを減らすにははヒーローマンとデモンベインを隣接させた上で不屈を使った最強武器を叩き込むと楽。ヒーローマンは戦闘前会話があるが、無改造の場合気力差があるとはいえ3800も食らい一撃で撃破される。 3マス離れると使い始める長射程武器が海Cなので爆竜は水中からショルダーキャノンを撃ち込めば被ダメージを大幅に抑えられる。ヒーローマンにも水中にいればバリアで無効化できるが、水中適正がCなうえに、クリティカル発生も考えると精神コマンドに頼るのが一番安心 マスターテリオンの能力の高さもあり、精神コマンドなしでは削るだけでも反撃で相当な被害を受けるので注意。この時点ではまず防御系精神が集中止まりのジョウは一発耐えられる程度なので手出ししない方が良い。 幸い、マスターテリオンは完全に九郎狙いなので、射程内に九郎がいれば他のユニットは狙ってこない。 隠し情報 リベル・レギス&マスターテリオン 九郎がリベル・レギスを撃墜4800以下で撤退するので注意。またオールキャンセラーがあるので装甲値低下 照準値低下などが効かない。反撃でやられないようにHP管理はしっかりと保とう。 九郎だけでは達成できないので援護攻撃は必須 この敵は少々特殊で九郎を狙い続ける 戦闘前会話 初戦闘:ロミナ、ジョウ、レニー、マイク グラハム:リチャード、サヤ アーニー:リチャード、サヤ ジン:リチャード、サヤ マスターテリオン:九郎、ヒーローマン 隣接シナリオ 第3話『I AM PROVIDENCE』 第5話『伝説の忍者』
https://w.atwiki.jp/student_rowa/pages/107.html
The Gold Experience No.1:<黄金と路は交わらず少女は背を血色に染める> ◆.b1wT4WgWk 喉の痛みに耐えながら、桂言葉は道を急いだ。今の彼女は丸腰だ。この状態 で男性の参加者に襲われでもすれば、武器も持たぬただの女性である彼女にと って、かなり不利な状況が生まれることは間違いない。それを自覚している桂 は、周囲にできる限り気を配りながら動く。遠目からでもすぐわかるような開 けたところは避けたかったので、わざと森の中を歩いた。相馬の死体のある場 所はあまり細かく覚えていなかったが、少なくとも道端ではなかったはずだ。 地図も何もなかったが、太陽の位置でおおよその方角はわかるので、もともと いた場所に戻るのにはさほど支障がなかった。 (暗くなる前にたどり着かないといけませんね……明かりもないから、夜にな ったら下手に動けなくなる……) 冬の陽が落ちるのは早い。もう随分と位置を低くした太陽は、しばらくすれ ば滴るような赤に空を染めることだろう。そうなってしまえば、森の中を動く のは容易なことではなくなる。この田舎なら星や月の明かりは期待できそうだ が、それでも昼間と同じ条件とは言えない。デイパックを持たない桂は、当然 支給品のランタンも持っていなかった。自分の足許、手許を照らすほどの明か りもない状態で迎える夜は、どうにも歓迎できはしない。彼女は幾分、焦りを 感じる。 (……誠くんは、どこにいるんでしょう) 昼の放送では、伊藤誠の名前は呼ばれなかった。とはいえ、その身の安全が 完全に保証されているわけでもない。彼女は早く伊藤と合流したいと考えてい た。学校対抗などというが、要するに、他が全て死んでしまえば終わりだ。桂 にとっては、それで済む話だった。他の同級生になど特に興味もなかったし、 その生死など知ったことではない。伊藤誠の希望がわからない以上、彼に会う までは大人しくしていようと思っている彼女だが、正直なところ、彼以外の同 級生に気を払う必要は微塵も感じていなかった。桂にとって、同じ学校の人間 は守るべき仲間ではない。わざわざ消すほど邪魔な人間ではないが、どこで何 をしていようとどうでもいい程度の人間だ。それは、他の参加者たち――宮崎 都を除いて――とは明らかに大きくかけ離れた感覚だった。 実際には、桂の知らぬところで伊藤誠の命はすでに尽きているのだから、現 実は非情なものだ。彼は2人の女に囲まれて、神社の境内で眠っている。彼を 求めてやまない彼女を置いて、他の女と逝ってしまった。もう数時間もすれば、 桂は伊藤の命が散ったという、重い事実を知ることになるだろう……が、今は まだ、桂に真実を告げるものはいない。 葉の落ちた木々の枝をかきわけ、桂は森の中を進む。一時間、いや二時間は 歩いただろうか、喉の痛みも随分と薄れたころ、木々の間に、地面に奇妙な格 好で盛り上がっている毛布を彼女は見つけた。それは何の変哲もないごく普通 の毛布だったが、森の中では、その幾分人工的な色がよい目印になる。 (……誰も、触っていないようですね……好都合です) ガサガサと枝をかきわけながら、彼女はそれに近づく。毛布の傍らにしゃが み込むと、あたりを見回した。今のところ人の気配はないが、この位置からだ と、近くを通る道が見える。そういえば、この道を行く途中で相馬に声をかけ られたのだった。これでは誰かが通って自分の姿を見ないとも限らない。こち らから狙えるのも確かだが、同時に向こうからも狙いやすい。あまり長居に適 した位置ではない、と判断した桂は、すぐに毛布をめくりあげる。 彼女が命を奪った女は、生前の美しさを欠片も思わせぬ醜い表情のまま生首 になっていた。ご丁寧に、繋がっていたはずの頸部の付近に仰向けで転がされ ていた生首は、しかし相馬の身体が俯せに倒れていたので、どうにも気味の悪 い光景をつくり出している。これをやった川添は、おそらく生首とはいえ、人 の顔を地面に向けておくというのに抵抗があったのだろうが、結果はなかなか に悲惨であった。その横には、相馬の首に巻き付いていた首輪も転がっている。 桂はそれを持ち上げて、何とはなしに眺めてみた。もちろん、彼女の首にも同 じものが嵌っている。 (そういえば、これは爆発するんでしたね……) 教室で見た、首輪の爆発。これで男子生徒がひとり死んでいた。何かリモコ ンのようなもので操作していたけれど、恐らく中には爆薬が入っているのだろ う。ならばひょっとして、何かに使えるかもしれない。桂はそう考え、その首 輪と、横に落ちていた、革の鞘つきの鉈らしきもの――どうやら相馬の支給武 器だったようだ――を相馬のデイパックに放り込む。相馬の荷物は、そっくり そのまま持っていくつもりだったからだ。そのまま、バッグに突っ込んだ手で 中を探っていると、相馬の支給品の銃が見つかった。桂はそれを手にとり、す ぐさまセーフティーレバーを押し上げると、制服のスカートのポケットにしま う。それなりにサイズの大きい銃なので、外から見えないようにと、気を使い ながら。 そのとき、桂の耳に、何やら排気音のようなものが聞こえた。彼女は急いで 顔をあげ、前方に見える細い道を確認する。音は彼女から見て右手から聞こえ てきていたので、桂は目をこらしてそちらを見つめた。 (スクーター、でしょうか……? そんな移動手段があったとは、気づきませ んでした……) まだ幾分距離はあるが、2台のスクーターがこちらに向かって走ってくる。 男がひとり、女がひとり。どちらも金色の髪をしている。制服の感じからする と、互いに同じ学校の生徒のようには思えない。ということは、戦う気のない 2人、ということだろうか、桂は考える。けれども、戦う気のないふりをして 誰かに同行しながら、相手を利用しようと考える……あたかも彼女のような人 間もいないわけではない。自分自身がそうした人間であるぶん、桂言葉は疑い 深くなりがちだ。 どちらにせよ、2人とも自分の学校の制服ではないし、当然ながら彼女の探 す伊藤誠でもない。それならばわざわざ接触する意味はなさそうだった。あち らには男もいる。相手が何の武器も持っていないのなら、襲われてもこの銃で 片付けられるかもしれないが、何か武器を持っているとなれば面倒だ。同じ条 件となれば、2対1の上に相手に男がいる、というのは彼女にとって圧倒的に 不利な戦いになる。最悪の場合まで考えた結果、彼女は身を隠してこの場をや り過ごすことを選んだ。 ……しかしながら、隠れられる具合のいい場所、というのもあまりない。仕 方なく桂は、相馬の死体の上にかぶせられた毛布の下に隠れた。屍との同衾は 彼女にとってもあまり気持ちのよいものではなかったが、この際我慢するしか ない。 そうこうしているうちに、スクーターの排気音はだんだんと桂のほうへと近 づいてきた。このまま音が通り過ぎて、遠くなっていけばそれが一番望ましか ったのだが、悪いことにそれは、彼女にかなり近い位置まできたところで停ま る。何やら2人の話す声が聞こえてきて、しばらくすると枝葉を踏みしだく足 音も近づいてきた。 (……最悪、ですね) 桂は溜息を吐きながら、ポケットの上から銃に触れる。毛布をめくられたら、 状況によっては撃たざるを得ないかもしれない。積極的に戦いを選ぶことはし ないと決めたが、こんなところで命を落とすわけにもいかないのだ。毛布越し で少しばかりくぐもった、暢気な声が桂の耳に響く。 『春道くーん、この毛布、中になんかある気がしますよ!』 これなら、そう危なくはないかもしれない……女の声音に桂はそう考えて、 少しだけ唇の端をつり上げたのだった。 坊屋春道と千葉紀梨乃の2人は、比較的のんびりとした様子で、スクーター を並べて走っている。彼らはどちらも、命に関わるような事態であるとか…… 目の前に転がる死体であるとか……を、いまだ目にすることなく進んできた。 そういった意味では、どちらもまだ、このプログラムの非情さを生々しく体感 してはいない。 とはいえ、坊屋は大切な友人である桐島ヒロミを失った。たくさんの思い出 を共有する、大切な仲間であった彼を失ったことは、坊屋の心に深い傷を残し ている。だが彼はそれでも、友人の死を受けとめるだけの強さを持っている男 だった。泣くことも喚くことも、人にあたるような真似もせず、激しく、そし て静かな怒りをひとりで噛みしめる強さ。己の動揺を千葉に見せぬよう、彼女 の前を辞する優しさ。どちらも、坊屋春道の拳に宿るものを思わせる。 それに対して千葉は幸運にも、放送の時点で、まだどの友人も健在とわかっ ていた。本当に誰かが命を落としたという事実、それもこんな短時間で10人 もの人間が亡くなるという事実には、とても強い衝撃を受けはしたし、自分の 横にいる坊屋の友人が逝ったことも、千葉の胸に影を落としはしたが……それ でも、少なくとも……桑原も、川添も、宮崎も、栄花も、どこかで生きている。 その事実が、千葉の精神を強く保たせていた。 だからこそ彼女は、友人を失った坊屋に対しても、彼女のやり方で十分に気 遣いを見せることができたのだ。千葉紀梨乃は、傷ついた坊屋を顧みずに甘え るような、無神経な女ではない。彼女は、動揺の中にあってなお、目の前の坊 屋を気遣ってみせた。彼女が笑顔を向けることで、坊屋の荒れた心が癒された のは間違いない。千葉は、人の胸の内をあたためる、優しい笑顔を持つ女だ。 彼女の明るさは、坊屋にとっても救いである。 2人は互いに、互いを思いやりながらここまで来た。この島で初めて会った 相手だというのに、彼らは不思議なほどうまく互いを支えあえている。悲惨な 戦いがいくつも巻き起こるこの島で、それは奇跡のような出会いだった……そ して、この2人が初めて目にする生々しい現実もまた、互いへの思いやりに端 を発する。 「は、は、はっくしゅん!」 道中、千葉がひとつクシャミをして、その拍子にブレーキをかけた。坊屋は それを見て、自分もスクーターを停めると、彼女の身体をいたわる言葉をかけ る。 「キリノちゃん、寒いのか?」 「だ、大丈夫です! ちょっと鼻がむずむずしちゃって」 「いや、風邪ひいたらマズいだろ、これ着てろよ」 「えっ?! ダメですよ、春道くんが風邪ひいちゃいますから!」 「いーからいーから!」 坊屋は自分の着ていたスカジャンを彼女に着せかける。女の子にこういうこ とするの夢だったんだよなあ、などと思いつつ。千葉としては、確かにちょっ と肌寒かったものの、ここまでさせるのは申し訳ない、と固辞しようとしたの だが、坊屋はそれを許してくれない。仕方なく、彼の優しさに甘えることにし たのだが、上がロングスリーブのシャツ一枚になった坊屋が寒そうで、どうも 気にかかる。 「あの、ほんとに寒くないですか? そのシャツ一枚じゃ……」 「ダイジョーブ! キリノちゃんはそーいうこと気にすんな!」 「……春道くん」 「さ、そろそろ行こうぜ。日が暮れねえうちに神社まで行ったほうがいいだろ?」 「……はい、あの、ありがとうございます!」 「いやー、どーいたしまして! はっはっはっ……」 そんなほのぼのした会話を繰り広げながら、彼らは道を行く。しばらく、た わいもない会話を続けながら走っていると、千葉が少し先の森の中に、何かが 落ちているのを見つけた。 「あ、あれってひょっとして……毛布じゃないですか?」 「ん? ああ、それっぽいな……なんであんなとこに」 「……あれ、誰のでもないですよね、多分」 「うん、まあ、要るものだったらあんなとこ置いとかねえだろうしな……もら ってこようか? 夜になったらもっと寒ぃだろうし」 「そうしたほうがいいかなって、私も今思ってました」 「よし、決まりだな」 そう言って、坊屋はスクーターから降りる。千葉もすでに降りていて、彼よ り先に毛布のもとに駆けていった。それを追って、坊屋が大股で森の中に入っ ていく。 「春道くーん、この毛布、中に何かある気がしますよ!」 まだ少し後方にいる坊屋に、千葉の声がかかる。それを聞いて、坊屋は何と なく……これはもはや、何となく、としか言いようのない、嫌な予感がした。 こんな場所で、毛布が森の中に落ちていて、中に何かある。それは多分、あま り見ない方がいいものが、中に入っているのではなかろうか……そういう、予 感だ。 「キリノちゃん、それ……」 坊屋が言いかけたとき、千葉はすでに毛布の端に手をかけていた。角の部分 を持って、ぺらり、と軽くめくったその瞬間、ごろり、と転がったもの。 「ひっ……!」 「キリノちゃん!」 ……それは、相馬光子の生首であった。 坊屋の勘は正しい。この毛布の中には、見るべきでないものが二つも入って いる。相馬光子の死体と、銃を携えた桂言葉だ。千葉は、布がめくれた勢いで 転がり出た生首に腰が抜け、すぐに持っていた毛布から手を離したので、桂の 姿は見ないで済んでいた。 坊屋は、ぺしゃりと座りこんだ千葉に駆け寄る。生首を目にした千葉の顔は 蒼白だった。坊屋自身も、転がる首と目があってしまって一瞬吐き気を催した が、何とか耐えると、千葉の目を手で覆い、力の入らないその身体を引き寄せ た。 「キリノちゃん、しっかりしろ……もう、見ちゃダメだ」 言いながら、坊屋はもう一度毛布と生首を見やる。この膨らみの具合からし て、首だけでなく胴体も入っていそうだ。これ以上触らない方がいいだろう、 そう判断して、千葉をつれてスクーターを置いた場所に戻ろうとした、そのと きだった。 ……毛布の膨らみが、ほんのわずかに動いた。 坊屋は初め見間違いかと思ったのだが、用心してしばらくそのあたりに視線 を固定してみた。やはりわずかに動いているように見受けられる。呼吸の動き、 とでも言えばいいだろうか、人間が生きているが故の、隠しようのない動きだ。 坊屋は千葉を背中にかばうと、渡されていた銃を手にとって構える。その行動 は言うなれば、喧嘩という形で……他人と戦うことを繰り返してきた坊屋の本 能的な警戒だった。 中に誰かいる、ということはつまり、ここで背中を見せて去ったら、後ろか ら狙われる可能性がある、ということだ。坊屋は頭でそこまで考えはしなかっ たが、本能的に状況を理解していた。 「……おい、中に誰かいるだろ、出てきやがれ」 低い声でそう告げた坊屋の背中で、千葉がびくりと震える。坊屋としては、 生首に衝撃を受けている千葉をこれ以上、怖がらせたくはなかったのだが…… こればかりは、如何ともしがたかった。 坊屋が毛布に照準をあわせたまま、微動だにせずいると……やがて、その毛 布が、べろり、と皮をむくように地面からはがれる。あらわになる相馬の首か らの下の胴体、そして現れる――ひとりの、女。 「それをこっちに向けないでもらえませんか。何も……しませんから」 千葉が毛布をめくった瞬間、桂は息をひそめてじっとしていた。毛布の中か らではあまり状況がつかめなかったし、自分のいる側とは逆の端をめくられた ことは何となくわかったので、大人しくしている方がよさそうだ、とふんだの だ。口調からして、どうみても攻撃的な相手ではなさそうだし、下手に動くよ り、黙ってやり過ごそう、そう彼女は考えた。 そして聞こえた女の悲鳴と、それをかばう男の声。これなら、2人ともすぐ にこの場を去ってくれるだろう、そう桂は期待する。生首ひとつに動揺するよ うな女を連れているのだ。これ以上、中を確かめようとは思うまい。そう考え た桂は、できる限り呼吸を小さくし、息を止めていた。 しかし、生きた人間であるが故に、それにも限界があった。呼吸にあわせて ほんのわずかに上下する身体を、おさえることはできない。それを、坊屋はめ ざとく見つけたのだった。 「……おい、中に誰かいるだろ、出てきやがれ」 わずかに響く金属音と、今までとはうって変わった男の低い声に、桂はぴり り、と緊張する。これはこのままやり過ごすことはできなさそうだ。彼女は毛 布の下で小さな溜息をまた吐いて、それから少し考えたあと、バッと毛布をめ くってみせた。 「それをこっちに向けないでもらえませんか。何も……しませんから」 そう言って桂は立ちあがる。銃は手にせず、ポケットに入れたままだった。 いきなり撃つことはないだろう、そのつもりなら毛布の上から撃てばいいのだ から。ただ単に相手は、自分の存在を確認したいだけだ……そう読んで、桂は わざと堂々とした態度をとったのだ。 「……ワリぃ、女の子とは思わなかった!」 桂に銃を向けていた男の声は、先ほどまでの低いものから、すぐに調子を変 える。銃口も下がった。どうやら相手はフェミニストらしい、と桂は思う。こ れは与し易そうだ。銃も持っていることだし、この際、一緒に行動して利用す る、というのもありかもしれない。そう考えた彼女は、言葉を選んだ。 「驚かせてしまったようで、申し訳ないです……あなたがたが向こうから来る のが見えて、咄嗟に隠れたものですから」 「や、こっちこそゴメンな、こんなもん向けて」 「こんな、場所ですから……何があるか、わからないと思いまして……でも、 よかったです……ここにいらしたのが、あなたのような、優しそうな人で。 怖い人だったら、もう撃たれていたかもしれませんし……」 「いやぁ、だっはっは……優しそうなんて女の子に言われたの初めてだなぁ!」 男は鼻の下をのばしてそんな台詞を吐いている。これならとりいるのは簡単 そうだ。桂はそう考えて、言いつのる。 「あの、ぶしつけなお願いで、とても申し訳ないのですけれど……もし、よけ れば……私も、ご一緒、できませんか……? ひとりでは、怖いので……」 ゆっくりと、本当に怯えているかのような口調で、桂はそう口にした。男の 顔は、先ほどの警戒を解いたのか、幾分緩んでいるように思える。これなら、 うまくすれば……そう思った矢先、座りこんで男の後ろに隠れたままの女が、 口を開いた。 「は、春道くん……私、この人、怖いです……」 面倒なことになった、と桂は思う。男の背中で怯えていたかと思えば、何を 言い出すのだこの女は。心の内で悪態をつきながらも、桂は表情を崩さない。 「……どうした、キリノちゃん」 「だって、この人……その、首……っ、のひと、がいる、とこに、いたんです よ……っ、普通の、顔で……!」 ……まったく、首のひとつやふたつ転げていたところで何だというのだ。い くら自分だって、こんなものと同じ布の下に進んで隠れたわけではない。仕方 がなかったのだ。桂は少し苛つきながら、女に言葉を投げる。 「私だって、したくてしたことではありません。さっきも言った通り、貴方た ちがこっちに来るのが見えましたので、咄嗟に隠れただけです……、私は丸 腰でしたので、何かされても困りますから」 「私だって、したくてしたことではありません。さっきも言った通り、貴方た ちがこっちに来るのが見えましたので、咄嗟に隠れただけです……、私は丸 腰でしたので、何かされても困りますから」 ……それはまあ、真っ当な言い分だ。そう坊屋は思った。真っ当なのだが、 どうも気に食わない部分がある。坊屋の目に映るのは、長い黒髪と美しい顔、 そして豊かな胸――どうしてもこれには目がいってしまった――を持った少女 の、腰のラインだ。 坊屋は男として非常に正直であったので、女が毛布の下から姿を現したとき、 その容姿の美しさに一瞬、目を奪われた。そして、美しい女性に対する礼儀と でも言わんばかりに、その肢体をきっちり眺めた。上から下まで、その衣服の 下の裸を想像していたとまでは言わないが、身体のラインをその目でしっかり 追ってはみた。男のさが、というやつだ。誰も彼を責めることはできない。 そして坊屋は、その男の哀しい性質故に、気づいたのだ。女の魅力的なくび れと、そこから熟れた曲線を描く、腰の右側。スカートのポケットがどうも、 無粋に膨らんでいた。はっきり言って、まともなものが入っているとは思えな い膨らみだ。目をこらしてみれば、何か金属的なものが、ポケットからわずか にはみ出している。 確実ではない。確実ではないが……あれは、拳銃ではなかろうか。坊屋はそ う考えた。実際に自分も持っているから、形から想像がついてしまったのだ。 女が拳銃を持っていたところで、それ自体は問題ない。自分も持っているし、 支給されたなら身を守るために持つ可能性はあるだろう。だが、それを持って いるのに、『丸腰』だなどというのはあまり好ましくない。それに、千葉が言 うとおり……屍と平然と同衾できる女というのは、いくら美人でもごめんこう むりたい、と坊屋も思う。 千葉は、毛布の下から現れた女を、本当に恐れていた。あんな怖いもの…… 怖くて、悲しいものと一緒に、毛布の下にいられて、しかも全く平気な顔をし ているなんて。どう考えても普通の神経じゃない、千葉はそう感じた。自分だ ったら、いくら誰かが来て、隠れなければと思ったとしても、絶対にこの毛布 の下は選ばない。もし、中に何があるのか知らないで隠れようとしたのなら、 毛布をめくった瞬間に隠れるどころの騒ぎではなくなる。なのに、そんなこと を普通にやってしまえる女が、千葉は本当に信じられなかったし、恐ろしくて たまらなかった。だから、震えながら坊屋に訴えたのだ。この女には近づくべ きではない、危険だ……と。千葉の心は、そう叫んでいた。 千葉紀梨乃は、容易に人を拒むような性格の持ち主ではない。彼女にとって、 これはほとんど……人生で初めての、本格的な他者の拒絶、と言っていいかも しれなかった。そんな千葉の心を知ってか知らずか……坊屋春道は口を開く。 「心配すんな、女の子に手ぇ上げたりしねえよ」 坊屋は、桂の言葉に応えてそう告げ、それから続けて、こう言った。 「でも……な」 その微妙な響きに、毛布の下から現れた女は訝しむように答える。 「……何ですか?」 「嘘はあんま、好きじゃねえな……ポケットから、見えてる」 坊屋のその答えに、女は一瞬顔色を変えた。まるで仮面でもかぶったように、 ほんの一瞬、表情がそぎ落とされたのだ。それは、とても奇妙な顔で、坊屋は 少しばかり、胆の冷える思いがした。 対する女……桂のほうは、自分の手痛いミスに胸の内で舌打ちしていた。銃 をポケットに入れたのは、武器を携帯するためには仕方のないことではあった し、彼女の拾った相馬の銃が、少々サイズの大きい武骨なものであったことも、 どうにもならぬ問題だ。制服の上のジャケットの裾で隠れるだろうから、気づ かれにくいだろうと思ったのだが、まさか見えているだなんて、思いもよらな かった。ポケットに入れたときには十分に気をつかっていたから、おそらく毛 布の下から出てくるとき、スカートの布が気づかぬうちに引っぱられたか何か したのだろう。全く、間抜けなことだ、と彼女は思う。丁度、この生首女の三 文芝居――相馬光子は、この銃をポケットの中で握りしめているのを見破られ たのだった――のようではないか。 「……嘘をついたのは、謝ります……武器を持ってるなんて言って、攻撃され るのが、怖かったものですから」 それでも冷静さを失わず、彼女は続ける。ここでうろたえては、逆におかし な目で見られかねない。そう考えての、台詞だった。 「ふーん、そっか……じゃあ、しょうがねえな。女の子だもんよ」 それに対する坊屋の答えは、実に暢気なものだったので、その後ろで千葉は ぎょっと目をむいていた。女が銃を持っていながら、丸腰だ、などと言ったこ とで、千葉の中での女の印象の天秤は、さらに悪いほうへと傾いたのだ。なの に、坊屋は平然とそんなことを言う。 「……優しいんですね、春道クン、は」 桂のほうも、少し安心したように口許に笑みを浮かべて、坊屋に答える。そ れに対する坊屋の口調も、いたってのどかなものだった。 「いやあ……春道くん、って、いい響きだよなあ……」 その言葉に、千葉が愕然としたのは言うまでもない。そんな話をしている場 合ではないのだ。彼女が思わず坊屋を諌めようとしたそのとき、坊屋はスッ、 と声のトーンを変えて、こう言った。 「……ただ、オレはどうも、キリノちゃんが呼ぶ『春道くん』のほうが好きみ てェだ」 千葉はハッ、と顔をあげる。自然に上がった彼女の視線がとらえたのは、ス カジャンを脱いで、シャツ一枚になった坊屋の背中……そこには、天へ昇る、 力強い龍の姿があった。 ……坊屋春道は、わかりやすい女好きだ。かわいい女には目がない。女の胸 も尻も大好きだし、有り体に言えば、スケベだ。そして、それ故に、間違って も女に手を上げたりはしない。そういう男だ。だが、だからといって……与し 易い男かと言えば、それは違う。 「だから、ワリぃけど……あんたとは一緒にいねえ方がいい気がする。できた ら女の子はみんな守ってあげたいんだけどよ、多分ホントはあんたも……そ れを望んでねえだろ」 言い切った坊屋は、笑っていた。その顔に桂は、ただならぬ気配を感じて、 退くことにする。この男は、ただのフェミニストではない。言葉にこそしない が、この男は自分にここを去れと言っている。この男の側から去るのではなく、 自分に、去れと。つまりそれは、自分に背中を見せるつもりはない、そういう ことだ。坊屋が桂に示したのは、はっきりとそれを悟らせる物言いと、有無を 言わせぬ笑顔だった。 「……当たり、です。私は、ここからいなくなった方が良さそうですね」 「そうみてぇだ、ゴメンな」 笑ったまま、坊屋は答える。今度は、優しい声で。桂は、自分が相手を読み 違えたことを理解する。この男は、全くもって簡単な男ではなかった。 「謝られることではないと思います……それでは、荷物だけ持たせていただい て、私は退散することにしますね」 この状況で、最大限の利益を得るために、桂はそう言った。荷物は実のとこ ろ、相馬のものであったのだが、状況を知らない2人に、それを嘘と見抜くこ とは不可能だ。坊屋も、それをとがめるような真似はしなかった。 「ああ、じゃあな……アンタも死ぬなよ」 笑ってそう言った坊屋に、相馬の荷物を持った桂は、軽く会釈をした。それ から、堂々と2人の前を横切っていく。横を通るとき、男がさりげなく女をか ばいながら、自分に背を向けないように動いたのを、桂は見た。その様子を、 忌々しく思いながら通り過ぎると、男の背中から、か細い声が聞こえた。 「……気を、つけて、ね」 怯えながら、それでもそう言う女を桂は笑う。まったく、お人好しというか、 偽善者というか。拒絶しておきながら、それでも自分を気遣ってくる女が、桂 は心底可笑しいと思った。 「ふふ……ありがとうございます。お二人ともお優しいんですね。それでは、 さようなら……」 そう言って桂は、ゆっくりと東に向かって歩き出す。西は禁止エリア、北は 自分が来た方向だし、南は端に海があるだけなので、自然と行き先は東に決ま った。その足取りに迷いはまるでない。 桂の奇妙なほど真直ぐに伸びた背を、血が滴るような夕陽が染めている。真 っ赤に灼けたようなその背は、次第に遠くへと消えていった。 【H-4 森/1日目 夕方】 【桂言葉@School Days】 [状態]:喉に軽いダメージ(治癒しつつあります) [装備]:ワルサーP38(9/8+1)、 ワルサーP38の予備マガジン×5、鉈 [道具]:相馬光子のデイパック、支給品一式、相馬光子の首輪 [思考] 基本:全ては誠くんのために。優勝狙いだが最終的にどうするかは誠次第 1:東へ向かう 2:伊藤誠、清浦刹那との合流 3:川添珠姫には近づきたくない 4:誠の無事と意思を確認するまでは積極的に戦わない ただし誠を害する可能性がある者は何をしてでも殺す ※誠以外の人間に対して心を閉ざしました。普通に会話はできます。 色々と変化していますが、本質は変わっていません ※伊藤誠と合流するか、何か言葉にとって衝撃的な出来事があれば元に戻るかもしれません 「……キリノちゃん、大丈夫か?」 銃をポケットにしまいながら、坊屋は千葉の身を案じる。千葉の震えは少し おさまったようだったが、いまだに顔は青いままだ。 「あ……大丈夫、です、ごめんなさい、ちょっと、腰抜けちゃって……」 千葉は足に力が入らない様子で、くったりと地面に座りこんでいる。その背 をそっとさすりながら――本気で心配しながらも、彼の心の片隅に『役得』と いう言葉が浮かんでいたのは言うまでもない――、坊屋は声をかける。 「じゃあ、おんぶしてやるよ! ……このまま、ここには、いたくないだろ?」 そう言った坊屋に、千葉は少し沈黙したあと、青白い顔で笑ってみせた。 「ありがとう、ございます……でも、その前に、この人、せめて、元に戻して あげたいです」 「キリノちゃん……」 「私、怖くて……怖くて、腰なんか抜かしちゃいましたけど、この人も、生き てたんだから……きっと、殺され、ちゃったんだから、せめて、ちゃんとし てあげたいんです」 その台詞に、坊屋は胸を打たれた。そこに転がった恐ろしい生首を、千葉は ちゃんと人間の一部として見ていたのだ。彼は、千葉の言葉に無言で頷くと、 転がる胴体をそっと持ち上げ、仰向けに戻してから、頭部を首にあわせて置い てやった。途中、坊屋はその首に嵌っていたはずの首輪がないことに気づいて 訝ったが、さすがにそれを桂が持って行った、というところまでは考えが至ら ない。そのまま、もう一度静かに毛布をかけてやって……2人は、名も知らぬ 遺体に手をあわせた。 枝葉の間からこぼれ落ちる赤い光が、毛布と2人の金の髪を温かく照らして いる。その光は桂の背を照らすものと同じであるのに、まるで違う色合いを持 って、そこに降り注ぐのだった。 【H-4 森 相馬の遺体近く/1日目 夕方】 【千葉紀梨乃 @BAMBOO BLADE】 [状態]: 腰が抜けている、生首を見たことによる精神的動揺 [装備]: 短刀 、原付スクーター [道具]:デイパック、支給品一式、チャッカマンなどの雑貨数点、常備薬 [思考] 基本:殺し合いはしない。 1:室江高校のみんなを探す 2:そのために島を一周する。次は鷹野神社経由で平瀬村へ 3:春道を、信用しようと思っている [備考] ※春道から、加東秀吉以外の鈴蘭高校出身者の特徴を聞きました。 【坊屋春道@クローズ】 [状態]:健康、精神的緊張感 [装備]: ワルサーPPK(6+1)、改造ライター(燃料:90%)、原付スクーター [道具]:デイパック、支給品一式、救急箱、缶詰、私物のタバコ、ワルサーPPKのマガジン [思考] 基本:キリノと仲を深める 1:キリノを守る 2:電話番号をもらう 3:できれば、その先も…… [備考] ※紀梨乃から、室江高校出身者の特徴を聞きました。 59:金髪男子のコロシカタ編 投下順で読む 61:The Gold Experience No.2:<黄金の背に追い縋り少年は冬の路傍に立ちぬ> 58:盗聴!発射!回復! 時系列順で読む 61:The Gold Experience No.2:<黄金の背に追い縋り少年は冬の路傍に立ちぬ> ▲